イム様に「お前は本物のジョイボーイではない」と告げられた直後、ルフィは瀕死の状態に追い込まれました。
そこへ現れたのが、ロジャーの元仲間スコッパー・ギャバンです。
命がけでルフィを庇ったギャバンの判断は、ジョイボーイ説への支持だったのでしょうか。
それとも、もっと別のものを見ていたのでしょうか。
結論から言うと、ギャバンが守ったのはルフィの「正体」ではなく、ルフィが見せた生き方そのものだったと考えられます。
イム様とギャバン、2人の評価軸のズレを追いかけると、この一瞬の判断の重みが見えてきます。
ギャバンの登場は本当に偶然だったのか
磔にされ虚無剣で貫かれたルフィのもとへ、ギャバンが駆けつけたのは1189話でした。
追撃を身を挺して防いだあの場面は、多くの読者の記憶に焼き付いています。
ここで見逃せないのが、同じ1189話でウソップが見聞色の覇気を進化させ、遠く離れた場所からルフィの危機を感知していたことです。
ギャバンの登場とウソップの覚醒、このタイミングの近さは偶然にしては出来すぎています。
ウソップが「異変」を見聞色で感じ取ったという直接の証拠はありません。
ですが、仲間の覚醒とベテランの登場が同じ話数で重なるのは、物語の構成として意味を持たせやすい部分です。
ギャバンが現場に現れたのは、誰かの覇気がどこかで繋がって呼び寄せた結果なのかもしれません。
あくまでも推測ですが、この符合は偶然の一致として片付けるには惜しい材料です。
イム様とギャバン、評価の基準はまるで違う
イム様はルフィに向かって、本物のジョイボーイはこれほど弱くないという趣旨の言葉を投げつけました。
「ジョイボーイはこれほど弱くなかった」(第1188話)
これは「血筋」や「資格」でルフィを測る発言です。
ジョイボーイという名を受け継ぐにふさわしいかどうか、その一点だけを見ている言葉と言えます。
一方のギャバンは、ルフィに向かって厳しく叱責しながらも、こう評価しました。
「待ち望んだ男」(第1190話)
調子に乗るなと叱りつつ、最高の言葉を贈る。
一見矛盾するこの態度こそ、ギャバンの評価基準を物語っています。
ギャバンが見ていたのは、ジョイボーイの再来かどうかではありません。
目の前で戦い、倒れても立ち上がろうとする一人の男としてのルフィです。
資格で測るイム様と、生き様で測るギャバン。
この評価軸のズレこそが、ギャバンの行動を読み解く一番の鍵になります。
ジョイボーイ説と四皇入りの関係については、ルフィの四皇入りとジョイボーイ復活、本当は偶然ではなく伏線か?でも詳しく考察しているので、気になる人はあわせて読んでみてください。
左腕を失ったギャバン、二つ名との符合
ギャバンには「海賊王の左腕」という異名があります。
ところが1190話、イム様の反撃を受けたギャバンは、まさにその左腕を肘から下ごと斬り落とされてしまいました。
二つ名そのものが象徴していた部位を失う展開は、偶然にしてはあまりに出来すぎています。
片腕を失ったギャバンは、ルフィに戦線離脱を促します。
それでもルフィは戦い続けることを選びました。
この「左腕」という異名は、いずれルフィに何かを託すための伏線だったと考えられます。
ロジャーの右腕ではなく左腕という位置づけも、意味深に感じられる部分です。
断定はできませんが、失われた左腕が物語の中で何らかの形で意味を持ち直す可能性は十分にあるでしょう。
イム様が「庇う」行為に驚いた理由
1190話では、ロジャーの元仲間たちがルフィを守ろうとする姿に、イム様が驚く様子が描かれたとされています。
なぜ庇うのか、とイム様は問いかけました。
この反応は見過ごせません。
イム様はルフィの名を「忌々しい名」と呼び、エースや革命軍のサボの存在まで把握していました。
血筋や因縁については、徹底的に調べ上げていたことになります。
それでも「個人の意志で仲間を守る」という行動原理だけは、計算の外にあったのではないでしょうか。
世界政府の頂点に立つ者にとって、人は血統や肩書きで管理できる存在です。
ところがギャバンの行動は、そのどちらにも当てはまりません。
ただ目の前の男を守りたいという意志だけで動いている。
イム様にとって、これこそが最も理解しがたい「異物」だったのかもしれません。
イム様の正体そのものについては、イム様の正体とは 世界政府の頂点の謎まとめで整理しているので、興味がある人はチェックしてみてください。
ギャバンが口にした「大きな秘密」という言葉
1191話で、ギャバンはイム様について、その正体が大きな秘密のようだと語ったとされています。
ギャバンほどの実力者が、わざわざ「謎」だと口にする意味は小さくありません。
この話数ではイム様が角を4本生やし、腕を黒く染めた異形の姿に変貌したという描写もあります。
さらに1192話では、攻撃を受けたイム様の腹部が、ルフィのゴム技に似た形で伸びるという異様な描写が確認されています。
ギャバンの発言とこの腹部の描写を重ねると、一つの疑念が浮かびます。
イム様の正体は、単なる「強い人間」の枠に収まらないのではないか。
ゴムのような伸縮性を見せる存在が、人としての理屈だけで動いているとは考えにくいところです。
ここは完全に推測の域ですが、ギャバンの一言が伏線として機能している可能性は高いでしょう。
怨魔剣やオーメンの仕組みについては、イム様の怨魔剣は斬る剣か、裁く剣か?オーメンに込めた意味で掘り下げています。
また、ゾロの一撃が尾に防がれた場面との関連も気になるところで、ゾロの覇王色一撃、イム様の尾に防がれた本当の理由と伏線を考察もあわせて読むと、イム様の異形化の意味がより立体的に見えてきます。
ルフィが戦い続けた理由とギャバンの判断
片腕を失ったギャバンは、ルフィに戦線離脱を促しました。
それでもルフィは拒みます。
このやり取りだけを見ると、ギャバンの「庇う」行為とルフィの選択は矛盾しているように映るかもしれません。
ところが1192話でウソップが放った言葉が、この矛盾を解きほぐしてくれます。
「おれ達が許さねェ」(第1192話)
ルフィの自由な生き方や名誉ある戦いを脅かすものは許さない、という宣言です。
ウソップはギャバンの懸念に対しても、全力で戦い名誉ある結末を選ぶこともルフィの自由だと訴えたとされています。
ここで見えてくるのは、ギャバンの「庇う」が単に命を守ることではなかったという事実です。
生存させることが目的なら、ギャバンはもっと強引にルフィを下げさせていたはずです。
実際には、ルフィの意志を尊重する方向に態度を変えています。
ギャバンが本当に守ろうとしたのは、ルフィが自分の意志で戦う権利そのものでした。
これは、イム様が資格でルフィを測ったのとは正反対の態度です。
生き方そのものを尊重するという一点で、ギャバンの評価軸は一貫していると言えるでしょう。
守るという行為の系譜をたどると、モンキー家の因縁にも行き着きます。
ガープとドラゴンという対照的な守り方・壊し方については、ガープは守り、ドラゴンは壊す、ルフィは気にも留めていないのかで触れているので、興味があれば読んでみてください。
まとめ
ギャバンの庇いは、ジョイボーイという資格への支持ではありません。
ルフィという一人の男が見せた生き方、その一点への評価だったと考えられます。
イム様は血筋と資格でルフィを測り、ギャバンは目の前の戦いぶりでルフィを測りました。
同じ「評価」でも、向いている方向はまるで違います。
どちらの評価軸が物語の結末で正しさを証明するのか、本編の行方を見届けたいところです。

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